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〜甲の巻
かつて蛙が言ったこと
「もっと遠くに飛びたいな」
かつて兎が言ったこと
「今度こそは勝ってやる!」
かつて猿が言ったこと
「もっと頭が良くなりたいな」
彼らはみんな
ここ何百年の間
ほとんど何も変わっていない
〜乙の巻
鶴と鸚鵡の間に
蝙蝠である私が生まれました
蝙蝠は夜行性なので
夜になると行動し昼間は休んでいます
鶴は言いました
「夜は休んで昼間行動しなさい!」
鸚鵡は言いました
「夜は休んで昼間行動しなさい!」
〜丙の巻
仲間たちは今
この大自然の中で大活躍しています
そんな折、ふと思い出すこと――
かつて犬が言ったこと
「信用第一だよ」
かつて猫が言ったこと
「不言実行が一番よ」
かつて熊が言ったこと
「力がなくちゃね」
かつて狐が言ったこと
「知恵が足りないんだ、君には」
かつて兎が言ったこと
「思いやりが大切よ」
――仲間たちが羨ましい
私にあるのは自由に空を飛べる翼と
探るような二つの目と
仲間たちの間を見境なく行き来する
このあつかましき性質だけ……
〜丁の巻
何百年の間進化することのなかった
蝙蝠である私は冷たい世界を好みます
仲間たちのいる熱い世界では
日々弱肉強食の生存競争が繰り広げられています
私では到底生きていけない苛酷な世界です
しかし私は今夜も
仲間たちには不可視であるのかも知れませんが
この深い暗闇の中でひとり
確固とした恐怖に怯えながら
奇声を発して助けを呼んでいます
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