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■詩 No.022

「チョコレート」 1998.05.07


常温で溶けかけたそれを口にするときの
高貴で甘美なる余韻を楽しむ至福の瞬間に
まったく私は眩暈さえ覚えるほどだ……

草いきれのようにある種むっとするような
甘い香りの正体は一枚のチョコレートだった
ミルクをたっぷりと含んだ褐色のしなる物体は
おそらくスイス産のものだろう

はるか古の時代から大陸を、大海を渡り
数多の人々の心を癒し安らぎをもたらしてきた伝統の芸術品よ
幾度もの改良を重ね、今お前は見事に色づいた優雅な肢体を
ああっ、ついに!
ついに私の前に投げ出しているのだ

お前の存在は偉大だ
どんなものでもかないっこない……
なるほど、バターをきかせたポップコーンも最高だ
汁気たっぷりのグレープフルーツ、
蜂蜜でコーティングされたマロングラッセ、
惜し気もなく生クリームをふんだんにのせたショートケーキ、
けだるいほど甘い香りの焼きたてのクッキー、
まったりと舌にまとわりつく上質のアイスクリームもいいし、
夏の夜の花火を見ながら飲む辛口のビール、
リゾートで飲むココナツ風味のカクテル、
喉が渇く夜の友たるマリブコーク(キューバ・リブレ)、
バーで最後に一息に飲むすっきりとしたジン、
長い夜に世話になるゆったりとくゆらす香り豊かなアンフォーラの葉も最高だ――

しかし所詮は、この世のどんな金銀財宝よりも
場合によっては重宝な神聖なる神々の与え給うた
不可思議な食物――
チョコレートに比べたらヘドロのようなものだ

――チョコレートは偉大だ
あらゆるものとの相性もよい
先のクッキーやケーキやアイスクリームだって、
デザートに必ず欲するパフェだって、
ミルクと卵をたっぷり練り込んだクレープだって、
みんなバッチリと合うってものさ!

ああ、なんて貴重な存在
常に頭から離れず、集中力さえ奪い去り
狂ったような情熱を捧げ込ませ
私を虜にする呪いのごとき食物――
ありとある食物の中の最高位
ああ、愛するチョコレートよ!



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