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グラスの淵から
水玉になった水滴が
カウンターに垂れて溜まっている
カウンター越しにすっと手が伸びて
それを拭き取ってくれている――
昨晩、やけにぶ厚いここのドアを開けたときの僕は
今目の前にあるハーパーを
ある通過儀礼のための祝い酒のつもりでいた
けれども今夜は違った
決して心からうまいと思って飲んでない――
考え事をしている振りが忙しくて
味を楽しむ余裕などなかった
「僕がもう、ここには二度と来ないこと知ってるのかな?
昨夜言ったことは冗談だと受け取っているのかな?」
――いつかまた、きっと来るからね
そう言って僕は、外まで送りにきてくれた彼女を背にした
初冬に内陸部に降る雨はやはり冷たく
人通りの少ない歓楽街の路地裏は煙っていた
彼女と僕との間の温度差は
自然と水滴に変わり両頬を伝って
この異郷の地に垂れてゆく
今となってはこれを拭き取ってくれるものはない
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