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〜エチュード
登山する機械、逃走する記憶の灯火は
消ゆることなく夜の工場の中で……
発明と建築とが薄暗い無限の鉄格子の回廊を滑走し――
水平線を愛でる太陽が、ちょうど重力から自由なのと同じように
――ガラスの砂漠の上を飛翔する
噴水が夢の紙片をばらまくとき、
あらゆる影を食む巨大な鳥が色彩を分かつ星の楔を入れ、
忘却の蒸留に成功した夢を運んでは軽い平皿の上に落とし込む
やがて内なる覚醒がコップを満たし、
奇形の蝶が大音響の蒼空を呪って五色目のフローラを裂く
罪悪の虹は恥丘を真紅に染めあげ、
歯軋りする風の囚人は絶望の舌を舐める……
ミルクの絵の具は黒ずんだ爪に希釈され、
空中の滝となって透明な波間を轟き流れる
捕鯨船の放つ生臭いきらめく光の網、言葉の香辛料は
粉末化された薔薇の花弁とともに極北の焦土に沈殿する
新たな文明は肉襞のラビリンスの中で築かれ、
すべりの悪い密林のまな板の上で発作的な舞踏を披露する
幾何学で証明されたジレンマの力点に真空の溶けた魚が針を置く
時間に挟まれた"瞬間"には珊瑚の栞を……。
そして顔のない視線には「未完」という完成を――
〜タブロー
地図には載っていないが、
今でも都内某所にて、洒落た雑貨を取り扱う店があると聞く――
108の真珠が埋め込まれたフタのない箱、
地球の中心へと向かう巨木の化石や、貝殻で作られた卵、
同じ写真ばかりで構成された読めない本や、本の置けない本棚、
穴の空いた船で航海した船長の日誌、非公認のパスポート、
楽しい夢を見るための機械、都内で収穫されたオリーブの瓶詰、
鍵穴のない錠前、音も映像も出ない映写機、
針のない懐中時計や、より小さく観察するためのルーペ、
速達専用の葉書や、返信用切手同封済みの封筒、
蝋燭の焔で焦げて穴の空いた便箋、
多種多様のきれいな紙、シガーボックスの形をした整理箱、
――その店の名は、「ローズ・セラヴィ」
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