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■音楽レビュー No.054

「きまぐれオレンジ★ロード 〜このときめきは……忘れない」/オリジナルサウンドトラック


 卒業式シーズンですね。昨年はメルマガ内で過去の名曲卒業ソングを列挙した記憶がありますが覚えていますでしょうか?今回はそんな「卒業」というテーマと同じくらい、淡くて切なく、そして甘い雰囲気がたっぷりのCDをご用意しました(笑)。 また、松田優作の映画やドラマ、ルパン3世などのテーマソングなどを集めたコンピレーションアルバムが昨今密かなブームです。まつもと泉作の「きまぐれオレンジ★ロード」というマンガについての基礎知識は、公式サイトから引用すると――、

 「1984〜1987年まで集英社週刊少年ジャンプにて掲載。全156話にて完結。ジャンプコミックス全18巻に収録。そのあいだ、TVアニメーション、劇場版アニメーション、オリジナルビデオ、キャラクター商品など、幅広く普及される。現在海外においてもイタリア、スペイン、台湾など八カ国で出版されている。
 超能力一家「春日家」の長男、主人公春日恭介をとりまく二人の少女、鮎川まどか、桧山ひかるが繰り広げる、学園ラブコメディー。大人の魅力を振りまくまどかと、明るく無邪気で純真なひかるとの間で、心の葛藤と戦いながら成長していく恭介。思春期の揺れ動く切ない恋と危険なアバンチュールが蔓延している、80年代の思春期聖書(バイブル)。」

――となる、まさに不滅のトライアングル・ラブ(はぁと)です。NACK5&ラジオ大阪系ラジメーションとして一時期放送された番組のオリジナルサウンドトラックです。僕は聴いていませんでしたが。

 余談ですが、僕は普段マンガを全く読まないのですが、このマンガだけは、昔読んだ「ぎゅわんぶらぁ自己中心派」で知られる片山まさゆきの作品以外で、唯一愛する作品として僕のノスタルジーの中に組み込まれてしまっています。マンガ喫茶が出始めの頃、寝ようと思って入ったのでしたが、「オレンジロード」を血眼になって読破して結局朝を迎えたこともありました。

 ストーリーの発端は、エスパーである主人公春日恭介が、舞台となる街に転校してくるところから始まる(詳細はマンガを読んでみてください)。石畳の階段の上から、ヒロイン鮎川まどかの落とした「麦わら帽子」が飛んでくる。この80年代の象徴として登場させた小道具「麦わら帽子」は、このマンガのキーアイテムである。最終回でも登場することになる。
 また、物語の始めと終わりに、関連する設定を織り込み、連結させるレトリックは「ウロボロスの蛇」と呼ばれています。この「ウロボロスの蛇」については、僕は卒業論文( http://homepage2.nifty.com/eurobeat/composition/composition01.html )で触れたことがあります(直リンク)。そこでも書きましたが、このレトリックが読者にもたらす効果は、文字通り「永遠」です。そう、いつまでも永遠に続く回想の物語。ノスタルジーの原点!これぞ日本のアニメ・マンガ史上における最高傑作(爆)!

 「abcb(アバカブ)」とは、「オレンジロード」で鮎川も一時バイトすることになる喫茶店の名前。この80年代を彷彿とさせるもう一つのキーワード「喫茶店」の登場のさせ方などは本当にうまいと思う。僕のホームページの掲示板「きまぐれ純喫茶 まちぶせ」がこれを意識していることは言うまでもありません(爆)。もちろんアバカブをテーマにした曲も、このサントラに収められています。

 また、掲載が終了した87年という年は、以前荻野目洋子のレビューの時にも書いたかもしれませんが、あのBaBeが「Give Me Up」を発表し、空前のダンスポップブームが起こった年であった。他にはゆうゆが「-3℃」、うしろ髪ひかれ隊が「あなたを知りたい」を発表した。それ系の曲が収められたシリーズもののオムニバスを所有しますもので少し触れておきました(爆)。

 88年だけでとらえてみても、姫乃樹リカ「硝子のキッス」、畠田理恵「ここだけの話 〜オフレコ」、仁藤優子「おこりんぼの人魚」、小高恵美「BLUE WIND」、あすか組「悲しげだね」、円谷優子「HELP」、風間三姉妹「Remember」etc……、89年になれば、里中茶美「ティーンエイジ・セレナーデ」、CoCo「EQUALロマンス」、ribbon「リトル☆デイト」、楽天使(中山忍、他)「天使たちのシンフォニー」etc……。

 この80年代という時代は、何かこう、何もかもがきらびやかで、太陽が輝いていて、若者がリードしていた時代というか、とにかく冒頭でも書いたように、淡くて切なく、そして甘いムードがたっぷりだったという印象があります。

 オープニング・テーマの「今宵ランデブー」や、アルバムのラストを飾る名曲イメージ・ソングの「Rainy Park」を歌う櫻井智は有名な声優さんですね。「第一級恋愛罪」/レモンエンジェル(櫻井智)<1988.05.21>などを聴いたことがある人は思わずうなずいてしまうでしょう。「シャコタン・ブギ」、「マクロス7」等にも声優として出演し、未だ根強いファンを多く抱える。この松浦亜弥を彷彿とさせるブリブリな歌い方や、ダンサンブルな曲調が特徴の、この1stシングルが発売された日、おもしろいことにもう一つのダンサンブルなナンバー、生稲晃子の「麦わらでダンス」や、吉田真理子の癒し系ソング「とまどい」なども発表されています。その1ヶ月前は西田ひかるの「フィフティーン」です。当時も今と同じようなダンスミュージックブームがあったってことでしょうね。

 また、本サントラに収められた「真剣にもっと」を歌う?"みやむー"こと、宮村優子は、劇場版の「Air/まごころを、君に」他、TV版の「新世紀エヴァンゲリオン」ではメインの"惣流・アスカ・ラングレー"以外にも脇役のいくつかも担当。もはやアニメに興味のない人間でも知っているほど高名な方でしょう。
 歌では参加していませんが、古谷徹氏は僕らの憧れた星矢の声でもお馴染み、「オレンジロード」では主人公春日恭介の声を務めます。

 このアニメソング(以下「アニソン」)と呼ばれる類のものが支持されるようになったのは、いったいいつからなのだろうか?かなり昔からだと思うが、TVアニメに限定して考えれば、なんとか絞り込めそうである。さかのぼれば昭和30年代、銀座数寄屋橋付近は「近代」へと変貌を遂げようとしていた――、不二家が店内で「プリン・ア・ラ・モード」を提供し、街頭テレビには「月光仮面」が映し出される――。この「月光仮面」の産みの親、そして後には「怪傑ハリマオ」でも話題になるが、小林利雄のいた広告代理店、宣弘社(阿久悠などもいた)で制作された番組のテーマソングあたりがそうでなかろうか。

 もしくは、「くしゃみ三回ルル三錠」、「明るいナショナル」など、佐藤雅彦や小林亜星よりも、ずっと前に活躍したCMソング(前身は「冗談音楽」)ライター、三木鶏郎(みき とりろう)の音楽が元になっているのかもしれない。三木門下には当時、16歳の天才少年と言われた永六輔をはじめ、五木寛之、いずみたく、野坂昭如などがいたそうです。
 三木鶏郎の功績の中で最も有名なのが、「ワ・ワ・ワ・輪が三つ」や「カン・カン・カネボウ」など、冒頭の語を繰り返してリズミカルに歌う「吃音ソング」の発明である。昨今のアニソンでも使われている歌い方ではなかろうか。
 もともとCMに使われる音楽というのは、まず第一に「分かりやすく」「目立って」「印象に残る」ことが大前提となる。必然的に商品名や会社名をブランド化(認知度アップ)する際に一番簡単な方法は、視聴者に繰り返し訴えることである。この「吃音ソング」がCMソングとして迎合されたのはもはや運命以外の何者でもなかった。佐藤雅彦の「ドン・タコス」や「ポリンキー」のCMを見れば明らかにこれらを参考にしている節が見受けられます。

 アニソンに関しては今では懐メロソングとしても再燃しそうな雰囲気である。某掲示板でもマニアの方が集まって盛り上がっています。僕も以前このCDレビューで日高のり子を取り上げましたが、昔は特に名曲が多かったと思います。人気のディズニーや宮崎駿の作品関連(久石譲)に留まらず、極身近なものでも名曲はいっぱいあった筈。最近離れてしまっているので記憶が薄いが、「魔動王グランゾート」(1989年4月〜翌年3月)の主題歌「光の戦士たち」は、「めだかの兄弟」の荒木とよひさの詞と、タケカワユキヒデの書く曲を歌う鈴木けんじの声がかっこよすぎるアニソンだと思います。最近でもMDに落としたものをよく聴きます。 他にも、水木一郎の「コン・バトラーVのテーマ(超電磁ロボ コン・バトラーV)」や、堀江美都子の「ボルテス?Xの歌(超電磁マシン ボルテス?X)」、ささきいさおの「立て!闘将ダイモス(闘将ダイモス)」などは皆様もよく知るところだと思いますし、「伝説の巨人イデオン」のエンディングテーマ「コスモスに君と」なんて、ドラクエでお馴染みのすぎやまこういちが作曲してます(聴けば一発で氏の作品と分かります)。それだけ当時のアニソンブームはすごかったのでしょう。ささきいさおなどは、早くにホリプロを辞めて独立して正解だったと思います。

 他にもゲームで「スーパーロボット大戦」(バンプレスト)シリーズが発表され出したときのレコード業界とのタイアップラッシュはすさまじかったです。思わずその流行に乗ってCDを借りまくる日々を過ごしてしまいました(爆)。
 このアニソンというのはまた面白いもので、僕が従来好きであったゲームミュージックとの相性がいいのである♪雑誌「BEEP」にもソノシートで収められていたが、やはりナムコやコナミやセガ系の曲は良かった。「エスパードリーム」のフィールドの音楽なんて最高にノスタルジー(謎)!ナムコやコナミやセガは、他のゲームミュージックに強い、ファルコム、エニックス、スクウェアなどのクラシカルな作風に比べて、どちらかというと当時から「近未来」的なテーマの音楽が多かったように思う。もちろんファルコムのゲームミュージックは業界最高峰(個人的)なのですけどね……。
 スパロボ・オリジナルソングの「TIME TO COME」はなかなかかっこよいし、「トップをねらえ! 〜Fly High〜」なんかも良かった。森口博子の「水の星へ愛をこめて」や、TWO-MIXの「JUST COMMUNICATION」などが流行った。先の「新世紀エヴァンゲリオン」では、短い曲ですが「次回予告」のテーマがなぜか好きでした。他にもボサノバっぽい曲など、意外にそのままで聴けたりします。

 最近ではユーロビート音楽から生まれたパラパラ系の曲(ここでは"ユーロビート"と別扱いで解説します)なんかでも使われています。一時期カラオケなどでも普通のJポップのユーロビートバージョンなんかが流行って、サザンオールスターズの「エロティカ・セブン」や、スピッツの「ロビンソン」など、なんとなくユーロビート化しやすそうな曲が、他にも多くアレンジされていました。
 「アニパラ」というキッズ向けのユーロビート音楽も編集されたことがあった。レコード屋に足を運ぶと、小さな子供が曲に合わせてノリノリで踊る風景なんかも見られた。僕が持っているアルバムに収録されているのは、「CAT'S EYE」、「CHA-LA HEAD CHA-LA(ドラゴンボール)」、「燃えてヒーロー(キャプテン翼)」、「ペガサス幻想(聖闘士星矢)」などだが、意外と楽しめたのは「キューティーハニー」だろうか(笑)。

 これらアニソンやゲームミュージックの共通点は、主に「インストゥメンタル」の曲であるということが挙げられるでしょう。僕は、前にもレビュったポール・モーリアなどが好きだったこともあって、高校時代にはフュージョンを心地よいと感じるようになる。何か短い番組のBGMに使われた、ジョージ・ウィンストンの「Longing Love(憧れ・愛)」や、「ピアノ・レッスン」でのマイケル・ナイマンの「the heart asks plesure first(楽しみを希う心)」などは、僕のヴェネツィア紀行感動日記?である詩( http://homepage2.nifty.com/eurobeat/poem/poem04.html )を書く際に頭の中で巡っていたものだった。
 クラシックや映画音楽などにも少し触れたことがあったが、その関係でか、僕はこの「きまぐれオレンジ★ロード 〜このときめきは……忘れない」をすごく推したいのです。

 斉藤誠が爽やかなギターを奏でる「夏空スクリーン らくがきいっぱい」なんて曲はタイトルだけでも最高なのに、曲の方はまるで、僕の大好きなラリー・カールトンの曲、「ストライク・トワイス」のようで最高にいい。でも終わり方がギタースクールで習う、リズムマシンに合わせて弾く練習曲のような感じで少し冷めた(笑)。「ときめきハート あなたにとどけ!」も、クルセイダーズやスパイロ・ジャイラがもっと爽やかになったような、超爽やかサウンドで最高♪ホント名曲です。
 他にも80年代っぽいタイトルの曲がいっぱい収められています。新井素子的なタイトルの「なんてったって混線模様」をはじめ、「恋するオレンジ100%」、「ひと夏のキャンバス」、「夢色メモリー」、「ビーチ・サイド・ガールズ」なんて、今じゃ到底流行らなそうな表現のタイトルが目白押し!でもこれが最高なのねー(笑)。ホントに曲の良さの保証はします。

 「デンジャラス・モーメント」はスリリングな快作。もうビージーズそのものです(笑)。ブルックリン橋を悪友同士、道いっぱいに広がりながら歩きたくなっちゃうような曲調です(謎)。「オシャレにチェイス!つかまえて」はオザケンサウンドというかオリラブ系というか、つまりはシブヤ系の曲ですよね。ジャジーな曲調がたまりません。ベースソロまで用意するあたり、ぬかりはありません(笑)。「ちょっとTea Time」は中村紘子と言うより、もっとワシントン・ハイツなジャジーな曲(謎)です。本格派な作りですね。「あぶない恋のLesson One」はジャズ・ブルースです。ホント笑えます。状況描写が出来てます。ポール・モーリアをレビュったときに、僕が高校の頃作ったラジオドラマの話をしましたが、まさにコテコテの曲調です(笑)。そういう意味では「秘密のベールの向う側」なんかも同じですね。心底妖艶です(笑)。

 ……と、オリジナルを読んだ後に聞いた方が楽しめるかもしれないのですが、このアニメ・マンガ界の頂点に君臨する「オレンジロード」のコンピレーションアルバム「きまぐれオレンジ★ロード 〜このときめきは……忘れない」を心からお勧め致します。


【関連サイト】

・WAVE STUDIO 「きまぐれオレンジ★ロード」の原作者、まつもと泉・Wave Studio公式サイト。
・オレンジメニュー ジャンプの表紙集で「オレンジロード」が飾った号が見れます。
・VAP@WEB 人気の冷めやらないルパンものや、僕が愛する杉山清貴の曲の試聴が出来ます。
・ELLESTAFF PROMOTION 株式会社エルスタッフプロモーションのオフィシャルホームページ。
・TOMO SAKURAI Fan's Website 声優、櫻井智さんを応援するファンサイト。
・Toru's Home2 声優、古谷徹さんの公式サイト。男が聞いてもしびれる声で迎え入れられます。
・みやむーらいふ 声優、宮村優子さんの公式サイト。
・声優グランプリ WEB 声優グランプリのホームページ。
・東宝アニメ音楽の世界 CDデータベースのページで発売中のアルバムをチェックできます。

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