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■音楽レビュー No.042

「From Me To You」/PINK SAPPHIRE


 チェッカーズのデビューをきっかけに激増した竹の子族が流行の変遷とともに原宿から去り、BOOWYも解散した後、まさに僕らの世代が見たものは?そう、X などとはまた違ったデビューを飾ることとなる、マスコミをも巻き込んだ「イカ天」ブームです。忘れている方もいると思うので、ここに「GRANDイカ天KING(5週勝ち抜き)」バンドを列挙すれば、初代「FLYING KIDS」、2代目「BEGIN」、3代目「たま」、4代目「MARCHOSIAS VAMP」、5代目「Little Creatures」、6代目「BLANKEY JET CITY」、7代目「パニック・イン・ザ・ズー」、となります。

 他にも名(迷?)バンドはいっぱいあったわけで、RABBITや、JITTERRIN' JIN、宮尾すすむと日本の社長、大島渚、NORMA JEAN、KUSU KUSU、人間椅子、remote(Vo.故池田貴族)、スイマーズ、カブキロックス、ヒステリックグラマー、AURA、イエローモンキーの前身バンド"キラー・メイ"、今をときめく?GLAYも出てたとか……、などがそれに当たります。

 加熱するバンドブームに合わせて、ビートルズやベンチャーズの初来日以来とも言えるバンドブームが日本の若者を刺激しました。かくいう僕もちょうどそれに合わせるかのようにギターを手にするわけですが、その後、JUN SKY WALKERSやFUSEなど(また布袋寅泰の妹が在籍した"ガラパゴス"もそうだったか?)をはじめとした"ビートロック"や"ビートパンク"という言葉が世間を賑わした新たな音楽ブーム、原宿や上野の歩行者天国はオリジナル曲を訪れた人々に発表する「ホコ天」ブームが起こったが、騒音問題や少年法がうるさく問いただされることになる1998年の規制、2001年の完全廃止( http://www.sanspo.com/shakai/2001/08/0830/0830sokuho30.html )に伴って、1999年、2000年のミレニアム期には仕掛け人の存在もあったろうが、ビートルズのベスト盤発売、クラプトンやサンタナのグラミー賞受賞などが話題になり、かつてのロック狂オヤジが燃える時代が訪れます。またこの頃になると若者も随分シニカルで主張的になり、コミックバンド系のおちゃらけ音楽には耳を貸さなくなり、ZARDやELTなどの正統派西海岸系ロックやAOR、1977年公開映画「サタデー・ナイト・フィーバー」、1983年公開映画「フラッシュダンス」を契機に始まったダンスブームがボビー・ブラウンなどを日本人の若者に紹介し、東京パフォーマンスドールがアースウインド&ファイヤーやエモーションズの曲をカバーすれば、現在でも同じ手法でヒットすることになるモーニング娘。系のソウルトレイン系が流行り、また宇多田ヒカルや倉木麻衣系のしっとりR&B系の曲などが再燃し出すのでありました――。

 そんな三宅裕司と相原勇が司会を務め、中島啓江などのレギュラー審査員が、若者バンドを斬り捨てる伝説のアマチュアバンド公開オーディション番組、「イカすバンド天国」(TBS「平成名物TV」の2部目番組)の中で、ひっそり頭角を現してきたバンドが、この「ピンク・サファイア」なのです!

 1990年放映のフジテレビ系恋愛ドラマ「キモチいい恋したい!」(安田成美、田中美奈子、森尾由美、吉田栄作、草刈正雄、宇都宮隆等が出演)の主題歌となったヒット曲「P.S. I LOVE YOU」が使われ、商業的な音楽プロデュース手法が全盛を見せた時期で、同時期に出た同名のミニアルバムも少しは売れたことでしょう。

 その刺激的?なバンド名から、後に話題となる「Tフロント」という、Tバックより過激なコスチュームで登場する「ピンクサターン( http://www5.tok2.com/home/kotobuki/PINKTOP.html )」と混同視されてしまうくらいに世間から消え失せてしまいますが、何気にこのアルバムを所有するので少しレビュることにします。同時期に売れたギャルバンド、ゴーバンズやBOO WHO WOO、最近「ギャルバンド」という言葉自体を復活させつつある"Mean Machine"(CharaとJUDY AND MARYのYUKIが結成したバンド)、またはホワイトベリーなどとはちょっと趣向の違う彼女たちの魅力とは?

 このアルバム(2nd)の中では、スマッシュヒットの「抱きしめたい」が印象に残っています。「ビートルズ好きなのかな?(cf.「I WANT TO YOUR HAND」/ビートルズ)」、そんな思いで聴いていました。イントロ部分からいきなり、パーソンズの「DEAR FRIENDS」や、後のガンマ・レイの「HEAVEN CAN WAIT」(サビ部)を思わせる王道コード進行のリフが始まり、歌に入ってからはやはり、リッチー・ブラックモアやブラック・サバスのトニー・アイオミや布袋寅泰で有名な、パワーコード(1度+5度)の8分刻みの王道バッキングフレーズにロックの真髄を感じながらこの曲に聴き入っていました。ビートルズの同名人気曲とは全く関係ない曲でしたが……。他にも「P.S. I LOVE YOU」や「Love Me Do」なんて、ビートルズの1stシングルのカップリング(と同名曲)だし、「From Me to You」もそうじゃないかと、発売当時からビートルズ好きだった友人から批判を買ったこともありました。

 ところが今思えば、特にその「P.S. I LOVE YOU」なんて、案外80年代色剥き出しのいい感じの曲で、「これが日本のギャルバン文化なんだよ〜!多分……。曲は全然違うし、ギターだってこんなに上手いんだぜ〜。」とか応戦していました。しかしそれにしてもちょっとギターが上手すぎる気がします。当時、同じようなギャルバンドでは、プリプリやベルベット・パウ( http://www.mni.ne.jp/~t44435/velvet_paw.htm )(土方隆行( http://columbia.jp/magicnotes/ )&笹路正徳( http://sasaji.tc-engine.com/ )プロデュース)などが好きでしたが、どれも女性にしてはギターが上手すぎる気がしていました(特にソロ)。まぁ練習すればこのくらいにはなるのかな?とも思っていましたが、ホントに弾いているのだとすればこんな短期間で消え失せてしまうことはない気がしました(上手ければ人気が出るわけでもないが)。それにしてもこりゃ上手すぎるってなわけで調査を進めると、編曲者のクレジットに「土方隆行(ギター)」という名を見ました。プリプリに対する懐疑(中山加奈子のソロアルバム、「ナカヤマの一発」に参加)もそうだったが、絶対このお方が弾いている!という確信を捨てきれずにいました。もしこの方が弾いているのであれば素直に納得出来る。僕の好きな杉山清貴のアルバムにしてもそうですが、このロック魂溢れるすさまじいロックフレーズは間違いなく、「マライア( http://www.asahi-net.or.jp/~XG6Y-WTNB/mariah.1.html )」や「ナスカ」出身の土方氏のプレイだ!と断言出来ましょう。土方氏は、「ヒューマンミュージックカレッジ( http://www.athuman.com/music/index.asp )」(笹路正徳( http://www.athuman.com/music/message/sasaji.html )氏が副校長を務める)という名門スクールでギター講師を務めて( http://www.athuman.com/music/message/inst.html#inst_gr )いるようです。土方氏と言えば、僕がプレイステーションを買ったきっかけとなったプレステ初のRPGソフト「アーク・ザ・ラッド」のサントラCD(『“Arc the Lad”Original Game Sound Track』)で、T−スクエアのギタリスト安藤まさひろ氏とともに参加していますが、かなり「キモチいい」ロックギターサウンドをかき鳴らす人です。

 このピンクサファイアにしてもプリプリにしてもそうですが、ギター好きだった僕としては少し哀しい気分になります。もちろん必ずしも土方氏が弾いていると限ったわけではないのですが、僕は夢を見させられていた気がしてならないのです。こんな上手い女性ギタリストがいたなんて!と、当時の僕にはカルチャーショックだったのに……。

 そんなわけで予想通り、当のピンクサファイアのレビューとは話題がかなり反れてしまったわけですが、アレンジャーの功労もありましょうが、今聴き返すと結構爽やかな曲調だったりします。懐かしさもあるので皆さんも是非お聴きください。


【関連サイト】

・「ナゴムギャル」について 〜「それに加えてナゴギャは、文化系のエッセンスを好む傾向がありました。キイワードは暗黒・異端・耽美。つまりはエロ・グロ・ナンセンス。サド、澁澤、金子國義、三島由紀夫、山口椿、四谷シモン、夜想、ユリイカ。」というくだりには僕とも共通点があったりします(爆)。
・palette 編曲家情報サイト。
・マジックノーツ ギタリスト、土方隆行氏のプレイが試聴出来ます!激ウマです!
・ベルベットパウ 幻のギャルバンド「ベルベットパウ」の個人レビュー。ドラム&ボーカルである桐生の幻想的歌声に僕も取り憑かれてしまったことがあります。
・笹路正徳 FREAK プロデューサー&キーボーディスト、笹路正徳氏のファンサイト。
・村田有美 村田有美(つんくなどをボーカル指導した先生)の写真が載っています。
・音楽のページ 村田有美のボイストレーニングの案内ページ。

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