|
"ユーロビート"と聞いただけで毛嫌いして、食わず嫌いならぬ「聴かず嫌い」の方も多いと思います。ユーロビートの起源(ルーツ)はさかのぼると意外に古く、もしかすると70年代に流行したダンスミュージックの中の一スタイル「ソウルトレイン」にまでたどり着くのかもしれない。
このアルバムの発売元、avex?鰍ヘ言わずとしれた、ユーロビートを扱う日本のレーベルとして、数年前から台頭してきたレコード会社で、イタリアをはじめとするユーロビートの最新ヒットチャートを、日本人好みに編集し直し、常に時代の最先端で音楽のトレンドを牽引してきた功労者である。
その最新作と言えるのが(と言っても発売は結構前だが……)このアルバムです。このアルバムのスタイルは、タイトルにもあるとおり「ヒーリング」がテーマで、全曲がオリジナルのオーケストレイションで統一されている。原曲はユーロビート最盛期である、「第2次ユーロビートブーム(俗にヒット曲が最も多く輩出された92年〜94年初頭までの時期を指す)」期の中でも、最も人気のあった曲、スタンダードな曲、そして何よりも一般受けしやすいメロディアスな曲だけを選んでいる。
このアルバムに参加した、プロデューサー兼ミュージシャンであるユーロビート界の重鎮、アルベルト・コンティニ氏は、本アルバムのライナーノーツの冒頭で次のように解説する――、
+++ 引用 +++
「リラックスできて、癒される曲を僕達のユーロビートで作ってほしい」という話があった時は、正直驚いたよ。ユーロビートといえば、早くて、力強くて、燃えるように刺激的な内容、例えばエキサイトしてしまうパラパラみたいな感じ・・・それと、リラクゼーションみたいな事とユーロビートというのはまったく正反対なものと考えていたのだが、この依頼を受けてすごくヤル気が出たね。というのは無謀でクレイジーな話だとは、まったく思わなかったからなんだ。(中略)
あまりにもレベルの低いユーロビートがシーンを蔓延している昨今(コンピューターで、同じリズム・セクションを繰り返しているだけの陳腐な曲など)、我がチーム、A-BEAT-Cは、つねに曲作りに時間をかけ、メロディが決まるまではリズムなしで制作している。(中略)
とてもロマンチックで、センチメンタルなシチュエーションには、まさにピッタリな曲もあるんだ。とにかく、このアルバムを本当にじっくり聴いてみてほしい。たくさんの素晴らしい発見があることは間違いないね。
+++ 引用ここまで +++
――「メロディが決まるまではリズムなしで制作している」、まさにメロディあってのユーロビートというスタイルを貫く氏のポリシーが伝わってきます。収められている曲は、"ユーロの神様"DAVE
RODGERSを筆頭に、LOLITA、KING&QUEEN、NORMA SHEFFIELD、VIRGINELLE、ANNALISEなど、ユーロビート界に名を轟かせて早や10余年、一時も色褪せることなく、トップアーティストの名を譲らないディーヴァ(歌姫)たちばかりである。
休日の昼下がり、真夜中のドライブetc……とその独特なアコースティックな音色はTPOを選ばず、聴けば癒されるこのアルバムは、まさにストレスだらけの現代社会に投じられた魔法の妙薬であると僕は定義しましょう。これを機会に皆様も是非、ご必聴戴けますようお薦め申し上げます。
|